アークトチス
概要
アークトチスは、キク科ハゴロモギク属(Arctotis)に属する植物の総称です。南アフリカ原産で、その美しい花と銀白色の葉が特徴です。多年草ですが、耐寒性が低いため、日本では一年草として扱われることが多いです。日当たりと水はけの良い場所を好み、比較的育てやすい植物です。
基本情報
- 科名: キク科
- 属名: ハゴロモギク属 (Arctotis)
- 学名: Arctotis spp.
- 和名: ハゴロモギク(羽衣菊)
- 英名: African daisy, Cape daisy
- 原産地: 南アフリカ
- 生活型: 多年草(日本では一年草扱い)
- 草丈: 30~80cm
- 開花期: 4月~7月
- 花色: 白、黄、オレンジ、赤、ピンク、紫など
- 特徴: 美しい花、銀白色の葉、日当たりを好む
特徴
- 花: 花は、ガーベラに似た一重咲きで、直径5~10cmほど。花色は豊富で、白、黄、オレンジ、赤、ピンク、紫などがあります。中心部分が青や黒色の品種もあり、花色とのコントラストが美しいです。日中に花が開き、夜や曇りの日には閉じる性質があります。
- 葉: 葉は、銀白色の毛で覆われており、柔らかな印象を与えます。切れ込みが入ったものや、縁が波打つものなど、品種によって形が異なります。
- 生育: 日当たりと水はけの良い場所を好みます。乾燥には強いですが、過湿には弱いです。耐寒性はあまり高くありません。
分布
アークトチスは、南アフリカの乾燥地帯に自生しています。岩場や砂地など、水はけの良い場所に生育しています。
歴史
アークトチスは、18世紀にヨーロッパに紹介されました。日本には、昭和初期に渡来したと言われています。当初は「グランディス」という品種が中心でしたが、その後、様々な品種が育成され、現在では多くの園芸品種が楽しまれています。
利用例
- 観賞用: 花壇や鉢植え、切り花として利用されます。
- グランドカバー: 横に広がる性質を利用して、グランドカバーとしても利用されます。
- ドライフラワー: 花持ちが良いため、ドライフラワーにも適しています。
食用
アークトチスは、食用としては利用されていません。
種類
アークトチスには、多くの園芸品種があります。主な種類は以下の通りです。
- グランディス (A. grandis): 日本に初めて入ってきた品種で、白い花弁に青い中心部が特徴です。
- アカウリス (A. acaulis): 茎が短く、地面に張り付くように生育します。花色は、オレンジや黄色などがあります。
- ヒブリダ (A. ×hybrida): グランディスとアカウリスなどを掛け合わせて作られた園芸品種です。花色や草丈、葉の形などが多様です。
- ベニディオ・アークトチス: ベニジューム属とアークトチス属を掛け合わせた属間交配種です。
代表的な園芸品種
- グランディス: 白花で中心が青色の品種。
- ワイン: 赤紫色の花を咲かせる品種。
- イエロー: 黄色の花を咲かせる品種。
- オレンジ: オレンジ色の花を咲かせる品種。
- ピンク: ピンク色の花を咲かせる品種。
育て方
アークトチスは、比較的育てやすい植物です。
栽培環境
- 日当たり: 日当たりの良い場所を好みます。日陰では、花付きが悪くなったり、茎が徒長したりすることがあります。
- 水はけ: 水はけの良い土壌を好みます。過湿になると、根腐れを起こしやすくなります。
- 土壌: 特に土壌は選びませんが、水はけの良い土壌が適しています。市販の草花用培養土を利用すると便利です。
水やり
- 鉢植えの場合: 土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えます。
- 地植えの場合: 特に水やりの必要はありませんが、乾燥が続く場合は、水を与えます。
肥料
- 生育期間中は、月に1~2回、液体肥料を与えます。
- 緩効性肥料を元肥として施しておくのも効果的です。
植え付け・植え替え
- 植え付け: 春(4月~5月)または秋(9月~10月)に行います。
- 植え替え: 鉢植えの場合は、1~2年に1回、一回り大きな鉢に植え替えます。
増やし方
- 種まき: 9月~10月に種をまきます。
- 挿し木: 5月~6月に挿し木を行います。
病害虫
- アブラムシ: 春~秋にかけて発生します。見つけ次第、駆除します。
- 灰色かび病: 梅雨時期など、湿度が高い時期に発生しやすくなります。風通しを良くし、葉が濡れないように注意します。
その他
- アークトチスは、ギリシャ語で「クマの耳」という意味です。これは、種子に生えている毛がクマの耳に似ていることに由来します。
- アークトチスの花は、切り花としても楽しめます。花持ちが良く、1週間程度は美しい状態を保ちます。
- アークトチスは、比較的寒さに強いですが、霜に当たると枯れてしまいます。冬は、霜よけをするか、室内に取り込むと良いでしょう。
画像引用元
- 写真AC